染料とのり等の接着剤を混合し、それを素材に刷り込むようにして付着させていくと着色が可能になります。この製作技術を捺染と呼び、布に対して有効な染色技術なのでのぼり旗に使用される事例も多くあります。その後専用のスチーム機材で浸染させる形で発色させていき、残った付着物は洗浄液で洗い落すと綺麗なクオリティに仕上がります。
インクジェットプリンターでデジタル捺染の印刷方法が確立されていますが、多くの家庭用機材には搭載されていません。
インクジェットプリンターでオリジナルの物を製作する時には、出力センターを含めた企業に依頼する必要があります。自身で機材を用意する事もできますが、確立された技術では低コスト化は実現されておらず、1000万円以上の機材が必要になります。
ただし出力依頼ならば製作規模にもよりますが、1万円以下の低価格で可能な為のぼり旗に掛かる費用を削減したい方は利用をお勧めします。反対に手作業では抜染法等で染色範囲をコントロールする事ができるので、依頼先の技術対応力を把握した上での依頼を検討してください。
捺染の歴史
染色技術が確立されてから現在に至る歴史の過程で、使用できる色のバリエーションが増大した経緯があります。
最初は赤や緑等植物から採集した染料を使用していましたが、
現在の捺染技術は機械と技術力を駆使すれば1000万色以上の配色が可能なので、一つののぼりに対して鮮やかなクオリティの物が製作できます。
歴史上では最初使用できた物は10色程度とされ、記録上で確認できる物は1800年代の横浜捺染が有名です。この方法は各地の木版技術を融合してできた物という知名度があり、横浜港開港の影響もあって海外からの注目度も高い事で有名です。
そこからのぼり旗を含めたオリジナルコンテンツへの使用が検討され始め、現在に至ります。この過程では型染も本来の技術に取り入れた歴史が存在し、現在ではシルクスカーフやのぼり等小規模な物に使用する傾向も確立されています。これらは手作業で行う方法が定着している為、提供できる技術者が少ない事情がありますが、微細な色のコントロールが容易な事からのぼりには最適な方法として浸透しています。
捺染のメリット
染色工程が多いと着色度合いのコントロールがしやすいので、その意味で捺染は表現力の高い製作技術です。
反対に技術工程の一部を省略する事でのぼり旗に違った質感提供ができ、その際には昇華転写法の使用がお勧めです。この方法は素材質感に依存する形で発色を施すので、のぼりに使用する生地の選択肢が広いメリットがあります。
ただし着色傾向がオリジナル性の高いものの場合はダイレクト法がお勧めで、素材に対して特殊コーティングを施すので配色がクオリティに影響しません。加えて依頼件数の歴史的な推移から検討するとこの方法が人気が高く、製作費用も安く済む為大量印刷を希望する方は積極的な利用をお勧めします。
尚のぼり旗で依頼をする方は使用生地にツイルを使用すると発色具合がよくなり、テトロンポンジだと透過率が高い生地なので設置と保管が簡単にできます。