先日当社とは異なった会社様にのぼり旗依頼した方から相談がありました。
内容を確認すると「インクジェットプリントでポンジーで作ったのぼり旗が
黒色がグレーに見えるのでクレームを入れた」とのこと。
お客様がクレームを言いたい気持ち、非常にわかります。
お客様としては思い描いているデザイン(出来上がりイメージ)と実物を
合わしたいですもんね。
またのぼり旗を製作している立場からいうと、技術的にしょうがないと
思うところもあります。
では技術的な面も含めて説明していきます。
のぼり旗の生地は通常光を通すほど薄い生地
まずのぼり旗によく使う生地は、ポンジーとトロピカル生地についてですが、
どちらも薄手の生地で、コンビニなどにあるのぼり旗を見たときに若干向こう側が
見えるほど、光を通すものであります。
つまり地面や壁にのぼり旗を置いた場合とのぼり旗を立てかけた時の光を通す量が変わり、
見え方も変わります。
色合わせするとき若干濃いめに染色するというのが通例です。※のぼり旗を地面に置いて販促する人いないと思うので。
それとは異なって綿天竺のぼりはほとんど光を通さないのでほとんどそのままの色に見えます。
※参考 生地の薄さ順 ポンジー生地 > トロピカル生地 > 綿天竺生地
染色手法によってものぼり旗の色の見え方は変わります。
まずは室内ののぼり旗の写真ならべてみました。
つぎは太陽光がさしたのぼり旗の写真を並べました。
こうやってみると黒の表現が各々違ってみえるのは理解していただけるでしょうか?
のぼりの裏抜け問題もありますが、ほとんどの場合生地自体と染色手法の問題です。
最後にのぼり旗染色手法まとめておきました。
- ダイレクトインクジェットプリント(技法詳細はこちら)
→生地に直接染料を吹き付けて染色する
片面のみの為裏抜け具合は最も弱いが単価が安い。 - 昇華転写(技法詳細はこちら)
→紙(転写紙)に一度インクジェットプリント紙を布と転写昇華染色する。
片面のみの染色するが当社ラインではダイレクトよりも裏抜け具合は高い。 - シルクスクリーン(技法詳細はこちら)
版を作り、版を使って顔料染め(印刷技術)をする。
片面より行うが裏にも抜けるように押し込み顔料定着させるため、
生地の隙間にも入り込み生地自体に色味が入り込み光を通さないようになる。
できる限り近しい色を光がある環境で表現するならシルクスクリーンが最強となります。
まとめ
色の精度を上げようと思えば目ができる限り詰まっている生地の方がよく、
技法としてもシルクスクリーン(印刷技術)で顔料をのせる方が一番正確な
色味に近づけることができます。
※目が詰まるのでよりその色がはっきり認識できるため
という意味では一番目が詰まった生地である綿天竺にシルクスクリーンが
最もきれいに見えます。
ただ綿天竺の製作費用は枚数にもよりますが、平均1,500円以上かかるのに比べて、
トロピカルシルクスクリーンは同じく枚数にもよりますが、おおよそ500円以下で
できるケースが多いと考えると予算の関係上トロピカルののぼり旗やポンジーの
のぼり旗に決まるケースがほとんどです。
参考になられたでしょうか?のぼり旗を作成する際には留意していただけると幸いです。