のぼりのメンテナンスをする時には生地にインクが散布された状態なので、摩擦を掛けるだけでクオリティが落ちてしまいます。これを防いだ上でメンテナンスをするにはアイロンの使用が不可欠で、使用方法の工夫によってアプローチの違う方法が可能です。その一つが当て布で、物理的にのぼりのインク部分に干渉せずに形状も整える事が可能なので、長期保存後も即座に使えるメリットがあります。
またのぼりは素材や構成の都合上水洗いしてしまうと、色落ちしてしまう可能性がありますが手洗いであれば干渉力を抑えた洗濯が可能です。その後乾かす意味で使用すれば、清潔な状態で使用できるので、店前等の販促物でも簡単に使用を繰り返せるメリットもあります。
尚のぼり旗の場合は湿気が籠りやすい構造になっているため、高温による保存前の処理が特に重要になります。加えて袋への保存も適さないので、機械的なケアをより欠かさずに行って再度使用時に即座に使用できるだけの保存環境が必要な点も、アイロンが有効な理由の一つです。
当て布が果たす役割
耐熱性の高い生地でも頻繁に高熱を与えてしまうと変形していく可能性が高く、アイロンを直に掛けるとこの現象が顕著に出てきます。また人口繊維の中には変形するだけでなく色が変色してしまう可能性もあるので、これを防ぐためにも当て布がお勧めです。のぼり旗の場合は特に器具に設置する形で使用する事も多く、変形した場合は設置機具に適合しなくなる可能性もあるので、当て布の重要性がさらに高くなります。
反対に効率的な熱伝導を重視して、のぼりの形状を纏まりを出したい時にはメッシュ状の当て布がお勧めで、のぼり本体への熱を加えつつも変形を防ぐ事が可能です。ただしメッシュ部分の変形が生地に影響を及ぼす可能性もあるので、定期的な交換や熱耐性のある素材の選択をお勧めします。
より高い熱伝導のコントロールが必要な時には、ガーゼやハンカチ等の使用も効果的です。加えて素材の薄い物ならばそれだけアイロン効果を適切に伝えられるので、選択候補として検討をお勧めします。
当て布の正しい使い方
生地によって当て布時の最適な温度が決められており、制限温度以内であれば生地を傷めてしまう心配もありません。まず素材がアクリルやアセテート、ポリウレタン製ののぼりの場合は80度から120度が最適です。
次に絹やウールの天然素材やレーヨンとナイロンとキュプラといった人工素材ののぼり旗には、140度から160度までの当て布が適切です。人工素材の多くがこれに該当し、生地によってはポリエステルも可能なので付属ラベルの温度マークを確認してからをお勧めします。
さらに対象の素材が麻や綿等の耐熱性に優れた物だと、180度から210度の高熱でのアイロンが適切になります。
これらの温度を把握した上でウール以外のシワを伸ばす場合はドライタイプを使用し、薄手ののぼり旗の場合はスチームタイプの使用がお勧めです。特にのぼり旗は最終的に形を整える目的でアイロン掛けをするため、スチームタイプの適性が強く必要に応じて折り目も付けられる汎用性があります。