オリジナルののぼり旗を作成するに当たっては、販売促進や各種のキャンペーン、あるいは開店日の告知など不特定多数の目に付くように鮮明に布地に染色されることが必要です。しかしひとくちに鮮明に染色するといっても紙ベースで印刷するときの結論を、布地を対象にした場合に適用するには難があります。特に布地は天然染料で直接プリントを行うことが難しい素材です。そこでそのままオリジナルののぼりの生地に染色するのは困難であるため、前処理工程が必要になるのです。前処理には2つの方法として、カチオン化処理とマーセル化があります。
カチオン化処理とは、綿布の染色前にカチオン化剤という薬液を用いて、染色しにくい布地が持つイオン特性をカチオン性に変化させ、アニオン性の染料が定着しやすくする工程です。これに対し、マーセル化とは、綿布を強力なアルカリ性溶液に浸すことで、絹のような光沢を付与し、染料の定着性だけでなく強度も同時に向上させる工程になっています。
キレイに印刷するためには前処理は必須!
オリジナルのぼり旗の製作の成功の上では、のぼりへの前処理が必要不可欠です。それは先ほど述べたように綿布はそのままの状態では染色しても定着させるのが難しいという性質の問題のほかにも、いくつかの理由があります。オリジナルのぼり旗ではメッセージや宣伝目的の標語など、のぼりにキレイに印刷しなければなりません。
しかしにじみが出ると字体も、デザインもぼやけてしまい訴求性が劣るという不具合に直面することになります。のぼりでは鮮明な印刷と定着性の強さに常に解決すべき問題として認識されているわけです。そこで前処理で特殊な溶液に浸すことで、きれいな文字や絵柄を確実にのぼりに印刷することが可能になるのです。このようなことからオリジナルのぼり旗ののぼりを印刷する中でも心臓部の工程とも評価出来ます。
前処理では濃度ムラが出ないように、こまめに薬液を攪拌したり、生地にシワが残らないようにするなど繊細で微妙な技術が要求されます。
前処理で発色やデザインが命
オリジナルのぼり旗ののぼりの出来こそが、宣伝や情報告知の訴求性を高め情報発信力の源泉となります。
そのため、オリジナルののぼりに、にじみ無く印刷するための前処理と並んで印刷技術も重要です。のぼりの布地では、ダイレクト昇華捺染と言う染色方法が採用されています。捺染とは聞きなれない言葉ですが、染料に乗りを混ぜて直接擦り付けて染め出す方法で、着物の絵柄の染色などでは型紙を用いたデザイン性の高い染色などは、古来から行われてきました。
近年では型紙を用いることは少なく、機械で直接吹きかけて染め上げる方法が開発されています。それでは、オリジナルのぼり旗の印刷に言う「ダイレクト」とは何を意味するのか。ダイレクト染色とは、転写紙を用いずに直接布にインクを吹き付けたうえで、加熱を加えて昇華させて布に定着させる方法です。
オリジナルののぼり印刷では、布地には染色しにくい性質を克服するため、前処理が不可欠な工程ですが、にじみ無く定着させるため印刷方法にも工夫が加えられているのが、お分かり頂けるでしょう。