のぼりは、訴えたいことを一枚の限定された大きさの布などに凝縮すること
ですから、結構知恵を絞らないと中々うまくいきません。
人目を引くことが何よりも大切なので、まずは色が一番大切でしょう。同時に、訴える言葉も同じように大切です。
見た人に何を訴え、何を感じてもらうかということだからです。
※補色についても参考になります。
そして、その訴える内容をきちんと伝えるためのデザインの大事なポイントを掴み、それを見る人にどう伝えるかこそが最大のポイントになります。
そのために、計算ずくめで訴えるサイエンスの要素と感性に訴えるアートの要素の
微妙なバランスを意識して、のぼりに表現することを欠かせません。
そして、このバランスを具体的に表すには、のぼりには余白も適度に必要ということになります。
あれもこれもと欲張ったのぼりは、返ってインパクトが弱くなり訴える力が減ってしまいます。
むしろ、重点を絞って、「これだけは」に限定し、後は余白で余韻を持たせる方が強いインパクトになるのです。
商品など訴えるもののコンセプトを明確にして、そのコンセプトを貫くのぼりを意識すれば自ずと余白の効果も意識できるはずなのです。
多くの人が美しいと思うデザインには共通点がある?デザインの黄金比
訴えたいことを強調するためにあえてデザインに取り入れられる余白はアクティブ・ホワイトスペースとも呼ばれ、のぼりのように特に際立たせたい図案やキャッチフレーズなどを目立たせるために戦略的に使われます。
こういった近代デザインの基本概念は、19世紀イギリスで活躍したウィリアム・モリスが確立したもので、画家・デザイナーであり詩人や思想家としても活躍したモリスは出版にも携わり、美の黄金比率とも呼ばれるページマージン比率をも生み出しました。
この場合のマージンは冊子などのページの周囲にある空白部分のことで、ページ下方のマージンを広めに取って左右のスペースをやや狭くすることで掲載されている情報に流れを感じさせて自然に強調するレイアウトを構築します。
モリスが多数の美麗な書籍のページを調査研究した末に導き出したというページマージンは現代でも冊子のみならずあらゆるシーンで応用されており、見る人の無意識に訴えて自然な心地良さを呼び起こす黄金比率となっています。
世紀を超えて世界中の人に親しまれてきた黄金比率をのぼりに応用することで、目に入った時に無意識の心地良さを感じさせながら、最も訴えたい箇所を強調するために役立てることができます。